2022年12月01日号
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artscapeレビュー

2015年10月15日号のレビュー/プレビュー

横尾忠則「Swimming Girls」

会期:2015/08/26~2015/09/19

南天子画廊[東京都]

約半世紀前の1966年、南天子画廊で初個展したときに出品した《泳ぐ人》が正面奥の壁に鎮座。それを囲むように、泳ぐ人が複数になったり重なったり裏返ったりピカソの絵のように崩れたり、さまざまなヴァリエーションが展示されている。もう絵画の常識もルールも作法もない、なんでもありな境地に遊んでいる。ように見えるけど、意外と苦心してイメージをひねり出してる跡も窺える。どの作品にも記されてる「450」の数字が謎。ほかに、アラブ人に扮したルドルフ・ヴァレンチノを描いたシリーズも。

2015/09/03(木)(村田真)

未来食──食に関する3つのストーリー

会期:2015/09/03~2015/11/24

LIXILギャラリー[東京都]

ギャラリーに入るといきなりドハデな彫刻が目に飛び込んでくる。間島領一による巨大な目玉焼きのテーブルと、ニワトリの頭がついた2脚の椅子だ。親子であるという、ただそれだけ。それ以上深い意味があるわけでもなさそうで、いっそ潔いともいえる。これほどストレートに、しかも一貫して、食とアートをつなげた作品を制作し続けているアーティストも珍しい。謝琳は摩天楼や工場などの建物の模型のようなものを写した写真14点。彼女は砂糖やクリームで建築のような構築物をつくっていたが、それを写真に撮ったもの。実物は「食」と「建築」のちょうど中間あたりに位置するが、写真になると質感やスケール感が薄まり「食」より「建築」に一歩近づく。それだけに、これが砂上ならぬ「砂糖の楼閣」だとわかったときのインパクトは増す。でも実物を見たかったな。2カ月以上の展示には耐えられないだろうけど。

2015/09/03(木)(村田真)

終戦70周年記念「私の右腕は御國に捧げた」

会期:2015/08/25~2015/09/19

かんらん舎[東京都]

1943年に出版された『大東亜戦争 陸軍作戦記録画集』に収められた約20点ほどのカラー図版を中心に、画廊主の大谷さんが集めた資料を展示。この画集の印刷に間に合わなかった藤田嗣治の《アッツ島玉砕》は、別刷り(モノクロ)で収められたという。藤田らしい目立ち方だ。
その《アッツ島玉砕》の漢字と紀元暦によるサインが消され、アルファベット表記に直されたことを示す展示も。これは戦後、藤田がGHQの要請で作戦記録画を集めて東京都美術館に収め、アメリカに運ばれるまでの約5年間のあいだに藤田自身の手によって書き直されたもの。作戦記録画はあくまで戦時中の国内向けに描かれたものだが、戦後、外国人の鑑賞にも堪えられると信じてアルファベットに改めたという抜け目のなさ、変わり身の早さ。ここまで来るともう尊敬しちゃいそう。そのほか、戦時中に戦争賛美の詩歌をつくった詩人・歌人たちの詩集や歌集、アッツ島の戦闘で何人戦死し、何人捕虜になったかといった資料も展示。大谷さんは書棚から次々と資料を出してきてレクチャーしてくれるので、つい長居してしまった。

2015/09/03(木)(村田真)

張照堂写真展 歳月の旅

会期:2015/09/01~2015/10/30

台北駐日経済文化代表処 台湾文化センター[東京都]

台湾の写真家、張照堂(ジャン・ジャオタン)の写真作品を見る機会が増えてきたのは嬉しいことだ。2014年のzen foto galleryとPlaceMでの個展に続いて、今回は東京・虎ノ門の台湾文化センターで、1970~90年代の代表作を展示する「歳月の旅」展が開催された。2013年9月に台北市立美術館で開催された回顧展「歳月/昭堂」は、「台湾の写真芸術史上においても稀な事件」とされるような大きな反響を巻き起こし、彼の写真に対する評価の高まりは、台湾だけでなく、日本を含むアジア全体に及ぼうとしている。1960年代にそれまでのサロン調の写真一辺倒だった台湾の写真家たちを荒々しく挑発する、身体性の強い「実存主義的な」作品群でデビューした張の存在は、日本でいえば東松照明、奈良原一高、川田喜久治、細江英公ら、VIVOの写真家たち、あるいは中平卓馬、森山大道らの仕事と比較できるのではないだろうか。
さて、今回の写真展を見てあらためて感じたのは、張が「旅」の途上で見た台湾各地(1点だけ中国・甘粛の写真が含まれている)の光景から滲み出てくる孤独感、寂寥感の深さである。張はこの時期には台湾のテレビ局に勤め、ドキュメンタリー番組の制作などで忙しい時期を過ごしていた。これらの写真は、その合間に「アマチュア写真家のように」撮りためられたものだ。だが、そのことが、逆に風景の片隅に寄る辺なくたたずむ人たちに向けられた彼の視線を研ぎ澄まし、純化していったのではないだろうか。違和感や距離感を基調としながら、哀惜を込めた眼差しを人々に注ぐ張の写真は、国籍を超えて見る者の胸を抉る強度に達している。今回は23点という、数的にはやや物足りない展示だったので、ぜひ彼の仕事の全体像を概観できる回顧展を実現してほしいものだ。

2015/09/04(金)(飯沢耕太郎)

保坂猛《湘南キリスト教会》

[神奈川県]

竣工:2014年

研究室のゼミ合宿で、保坂猛による湘南キリスト教会を見学した。内部はバウスベアー教会を彷彿させる曲面天井で、外部からの視線を遮断しつつ、上からの光をとり込む。また、可動の間仕切りにより、堂内を延長し、フルフラットの大空間にも変形する。

2015/09/04(金)(五十嵐太郎)

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