2021年10月15日号
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artscapeレビュー

2009年01月15日号のレビュー/プレビュー

金刀比羅宮の屏風展

会期:4月19日~12/末

金刀比羅宮表書院[香川県]

応挙も若冲も由一もパリに巡業中なので、蔵出し屏風の展示を見る。表書院では、ふだんは外側の廊下から内部の障壁画を見る構図らしいが、いまは襖がごっそり貸し出されているので、内部の畳の上を歩いて屏風絵を鑑賞できる。驚くべきは邨田丹陵の《富士巻狩図》。これは屏風ではなく襖絵で、富士の裾野を駆け巡る武士たちが描かれているのだが、その襖を開けると奥の床の間に描かれた雄大な富士の図が現われるという仕掛け。日本美術には意外とこういうパフォーマンスをともなう鑑賞法があってあなどれない。

2008/12/14(日)(村田真)

第7回ヒロシマ賞受賞記念:蔡國強展

会期:10月25日~1月12日

広島市現代美術館[広島県]

琴平から特急で瀬戸大橋を渡って岡山に出て、新幹線に乗り換えて広島へ。約2時間の旅。蔡さんの展覧会は受賞記念展なので、前々から準備を進めていたものではなさそうだから、正直あまり期待してなかった。だいいちグッゲンハイム美術館で大回顧展をやったばっかりだし。みたいな心構えで見ると上出来だと思う。これまでの火薬を使ったドローイングや、花火パフォーマンスの記録映像(これだけでも見飽きない)のほか、メトロポリタン美術館のためにつくった巨大なレリーフ《不透明モニュメント》、いわきで見つけた木造の廃船をリサイクルした《無人の花園》と続き、圧巻は、半円形の展示室の壁面45メートルに火薬ドローイングを貼り、床に60トンもの水を満たしたプールをしつらえた《無人の自然》だ。点数はすくないけれど見ごたえある。

2008/12/14(日)(村田真)

シガリット・ランダウ

会期:11月1日~12月14日

広島市現代美術館[広島県]

Chim↑Pomの個展がポシャって扉を閉じたスタジオの前で、シガリット・ランダウの映像を流している。シガリット・ランダウといえば、10年ほど前のドクメンタで、観客をいつのまにかクソだめに導き入れる快心のインスタレーションを見せてくれたアーティスト。それだけに、砂浜でふたりの女性が意味ありげな行為を繰り返すだけの思わせぶりな映像にはイラ立つ。

2008/12/14(日)(村田真)

吉岡徳仁ディレクション「セカンド・ネイチャー」展

会期:10月17日~1月18日

21_21 DESIGN SIGHT[東京都]

デザイナーの吉岡徳仁によってディレクションされた企画展。全体的に白く透明感のある空間に仕立て上げたいようで、その無邪気な白さが妙に気恥ずかしい。天井から無数のビニールコードを吊り下げた《CLOUDS》は、素材は異なるものの、大巻伸嗣の《Liminal Air》とそっくりだったが、大巻に比べて圧倒的にボリュームに欠けており、その密度の薄さが貧乏臭い。

2008/12/14(日)(福住廉)

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未来を担う美術家たちDOMANI・明日展2008

会期:12月13日~1月26日

国立新美術館[東京都]

いきなり日展の工芸部門みたいな染織作品が並んでいて、会場を間違えたかと思う。その次が田中信太郎というチグハグさ。出品作家15人のうち7人は1990年までに文化庁から海外に派遣された人たち、8人は2002年以降の派遣組だそうだ。2005年派遣の開発好明が、1994年1月1日から毎朝自分の顔を撮り続けているセルフポートレートは圧巻。その5000枚余りを7分に圧縮した映像を見ていると、これを始めるきっかけとなった友人の「お前老けたな」という言葉が実感をもって迫ってくる。カタログ所収の開発の顔写真も思いっきり笑える。こういうやつを海外に出していいのか。

2008/12/16(火)(村田真)

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