2021年10月15日号
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artscapeレビュー

2009年01月15日号のレビュー/プレビュー

ダブル・クロノス展

会期:11月15日~11月24日

瑞聖寺アートプロジェクトZAP[東京都]

毎年恒例となった多摩美の長谷川祐子ゼミによる企画展。白金台の瑞聖寺を舞台に東恩納裕一、大巻伸嗣、高木正勝、水木塁、大西麻貴+百田有希による作品を展示した。圧倒的だったのは、高木正勝。ブラックキューブのなかで魅せた映像は、従来の牧歌的なイメージを完全に覆し、ダイナミックなリズムで生命の輪廻をたどるようなものだった。

2008/11/22(土)(福住廉)

石内都「ひろしま/ヨコスカ」

会期:11月15日~1月11日

目黒区美術館[東京都]

2008年6月に新作を中心に「ひろしま Springs of Time」展(広島市現代美術館)を開催し、同名の写真集(集英社)も刊行するなど意欲的な活動を展開している石内都。目黒区美術館の「ひろしま/ヨコスカ」展は、6歳の時に移り住んだ故郷、横須賀の光景を、ざらついた粒子の画像に封じ込めたデビュー作「絶唱、横須賀ストーリー」(1976~77)から、原爆資料館に保存された被災者の遺品をカラー写真でいとおしむように撮影した「ひろしま」のシリーズまで、代表作がずらりと並んでいて、見応えのある展示だった。「絶唱、横須賀ストーリー」や「アパートメント」(1977~78)のような初期の作品は、個展等に出品されたパネル貼りのプリントがそのまま出品されている。変色したり、画像が一部消えたり、端の部分が擦れてしまったりしているものもあるが、逆に時の重みがそのまま凝縮しているような感覚が生じてきていた。
石内の眼差しはいつでも被写体となるモノや身体のディテールへ、その表面の質感ヘと注がれている。「見る」という視覚的体験よりも、むしろ「目で触る」行為といった方がよいかもしれない。被写体の触感は印画紙の物質感に丁寧に置き換えられ、写真を見る者の記憶の奥底に届くような至福の時間を与えてくれる。特筆すべきは学芸員の正木基を中心としたチームによる展覧会のカタログ。石内の写真集、展覧会のデータを画像付きですべて網羅し、長時間のインタビューによってその作家活動を浮き彫りにしている。ここまで緻密かつ懇切丁寧、驚くべき情熱を傾けて制作された展覧会カタログは初めて目にした。至れり尽くせりの内容は感動ものである。

2008/11/22(土)(飯沢耕太郎)

東恩納裕一

会期:11月22日~12月25日

コム・デ・ギャルソン青山店[東京都]

東恩納裕一の蛍光灯によるシャンデリアは、すでに同店で使われているが、それとは別に、蛍光灯による円環状のインスタレーションを入り口正面に展示。白い壁面を背に設置された大小それぞれの蛍光灯は、まばゆいばかりの光輪を描き出していた。

2008/11/24(月)(福住廉)

チャロー!インディア インド美術の新時代

会期:11月22日~3月15日

森美術館[東京都]

現在のインド美術を紹介する展覧会。いわゆる「アジア」や「インド」といった地政学的なフィルターを通すのではなく、あくまでも同時代の表現として見せようとしている。いわゆる「神秘的な」インドを期待している向きには満足できないのかもしれないが、ともにマクドナルドを食べるという同一性から、なおもこぼれ落ちる差異にこそ、グローバリズムの時代におけるリアリアティが賭けられているのだろう。

2008/11/27(木)(福住廉)

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寺田真由美 新作展 明るい部屋の中で vol.3

会期:11月27日~12月28日

Gallery OUT of PLACE[奈良県]

自作したミニチュアの室内を撮影した写真作品で、現実と虚構、存在と不在の狭間を表現する寺田真由美。だが、新作では室内から外の景色を臨む作風へと変化が見られた。外の景色は実際の風景を写真撮影して立て掛けたらしい。なかには室内がほとんど写っていない作品もある。もはやセットは不要ということか。過渡期の作品を前に、今後の展開についてあれこれ思いを馳せた。

2008/11/27(木)(小吹隆文)

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