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2015年10月15日号のレビュー/プレビュー

ベルンハルト・ハンス・ヘンリー・シャロウン《ベルリン・フィルハーモニー》

[ドイツ、ベルリン]

竣工:1963年

ハンス・シャロウンの《フィルハーモニー》へ。内部に入るのは初めて。有機的な造形という意味では昨年訪れたアアルトの《フィンランディア・ホール》を想起させるが、もっと飾り気のないソリッドな空間である。ワインヤードの形状がホワイエにも反映し、一見複雑だが、エリア分けを示すアルファベット一文字のサインをたどると、スムーズに座席に着く。通常はいつも満席だが、風変わりなプログラムのおかげで、ベルリンフィルを聴くことができた。冒頭が映画「サイコ」の浴室における殺人シーンで有名なバーナード・ハーマンの曲である。一斉に弦楽器群が切り裂き音を奏でる箇所は、パーフェクトなピッチで音が澄み、まさに鋭いナイフだった。次曲が特に断片化の著しいシェーンベルグである。そして、ツインドラムが印象的なニールセンの四番で最後を飾る。

2015/09/19(土)(五十嵐太郎)

ザハ・ハディッド《ファエノ科学センター》

[ドイツ、ヴォルフスブルク]

竣工:2005年

ヴォルフスブルクへ。駅前広場に面するザハ・ハディドによる《ファエノ科学センター》は、持ち上げた流動的なヴォリュームを支える脚部の隙間から各方向へのヴィスタを確保している。ランドスケープ・デザインとも一体化した建築だった。内部は巨大なほぼワンルームだが、科学系の装置だと空間の演出は難しそう。展示自体はかなり面白いが。

2015/09/20(日)(五十嵐太郎)

アウトシュタット

[ドイツ、ヴォルフスブルク]

車の街につくられたアウトシュタットは、クルマのテーマパークというか、未来的なパヴィリオンが並ぶ万博会場のようだった。やはり透明な円筒の双塔となったカータワーが圧巻である。想像以上の高速で自動車を出し入れ、上下に移動させる機械仕掛けの実演が度肝を抜く。また、建築としては、水面にはり出すニーマイヤー、あるいはザハ風のポルシェ館が優れていた。

写真:左=カータワー、右=ポルシェ館。水面に張りだした屋根の下

2015/09/20(日)(五十嵐太郎)

《ボロス・コレクション》

[ドイツ、ベルリン]

ベルリンに戻り、《ボロス・コレクション》へ。大戦時につくられた防空壕を5層のギャラリーに転用したものである。粗末な建物かと思いきや、コンクリートの要塞の外観は、新古典主義的なパラッツォ風で、正方形プランで集中性が強い。ユニークな建築を見に訪れたが、アリシャ・クワデ、Sailstorfer、サラセノなど、現代美術の展示もいい。

写真:上から、《ボロス・コレクション》外観、同内観1、同内観2、サラセノ展示風景。

2015/09/20(日)(五十嵐太郎)

ミース・ファン・デル・ローエ《新ナショナルギャラリー》

[ドイツ、ベルリン]

チッパーフィールドが改修に関わるということで、現在閉鎖中のミース・ファン・デル・ローエによる《新ナショナルギャラリー》へ。ただ、工事の囲いはないので、外からでも全面ガラス越しに内部がまる見えである。天井のグリッドはいずれにしろ影響されないが、まったく何も展示物がない空っぽの状態こそ、この建築にふさわしいかもしれない。

2015/09/21(月)(五十嵐太郎)

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