artscapeレビュー
2015年10月15日号のレビュー/プレビュー
ベルリン中央駅~ポツダム広場
[ドイツ、ベルリン]
ベルリン中央駅からポツダム広場方面へ、南下しながら歩く。もちろん、ドイツの建築家も多いが、ディーナー&ディーナー、カラトラヴァ、フォスター、ポルザンパルク、ゲーリー、ウィルフォード、アイゼンマン、チッパーフィールド、ピアノ、モネオ、ロジャース、磯崎、ザハ、グラッシなど、改めて国籍の多様性に驚く。外観のレギュレーションが強いなか、それぞれの建築家が工夫を凝らす。超傑作ばかりではないが、やはり群としての圧倒的な存在感が生まれている。この南北エリアは、かつてベルリンの壁沿いだったところで、東西の統一後、都市の中心になった、ほとんどが1990年代後半以降につくられた現代の風景だ。90年代に世界でもっとも激変した都市は、ベルリンと上海ではないかと思っているが、前者は世界のスター建築家を導入しながら、確実に都市の資産となる新しい街並みをつくり出している。一方、東京は結局、ザハを追い出したが、いま思えば外国人建築家に開かれていたバブルのときからの現代建築を将来も蓄積できるのか、心もとない。
写真:左=上から、ディーナー&ディーナー、カラトラヴァ、フォスター、ポルザンパルク、ウィルフォード。中=上から、ゲーリー、チッパーフィールド、ピアノ、モネオ。右=上から、ロジャース、磯崎、ザハ、グラッシ
2015/09/25(金)(五十嵐太郎)
ユダヤ人犠牲者記念館
ユダヤ人犠牲者記念館[ドイツ、ベルリン]
二度目のユダヤ人犠牲者記念館。地上はアイゼンマンとリチャード・セラの協同により、揺らぐ直方体の森が広がる。足下だけでなく、墓石のようなヴォリュームが微妙に傾き、生きているかのようだ。地下の情報センターは、天井や展示デザインに地上のグリッド・パターンを反映させながら、ホロコーストに絞った悲劇の内容を伝える。
2015/09/25(金)(五十嵐太郎)
ヘルムート・ヤーン《ソニー・センター》
[ドイツ、ベルリン]
竣工:2004年
ヘルムート・ヤーンが手がけた《ソニー・センター》にある映画博物館は、『カリガリ博士の部屋』撮影セットの復元模型、『メトロポリス』の特撮解剖、ナチスを嫌い、渡米したディートリヒ、リーフェンシュタールのオリンピック映像メイキング、東西時代の映画などを展示する。特にCGのない時代に制作された「メトロポリス」の各シーンが、このように撮影されていたのか! と、かなり感心する。
写真:映画博物館
2015/09/25(金)(五十嵐太郎)
ベルリン楽器博物館
[ドイツ、ベルリン]
フィルハーモニー隣りの楽器博物館へ。これも室内楽ホールと同様、シャロウンのスタイルだが、彼の設計ではない。普段は隠されている楽器の内部も見えるような展示が多く、楽器は器械の一種なのだと再認識させる。また、通常見かけない特殊な楽器もいろいろあって、進化の過程で登場した傍流の深海魚や変わった昆虫に遭遇するような面白さがある。
2015/09/25(金)(五十嵐太郎)
カール・フリードリヒ・シンケルによる《コンツェルト・ハウス》《フリードリヒ・ヴェルダー教会》
[ドイツ、ベルリン]
ウンター・デン・リンデンへ。カール・フリードリヒ・シンケルによる《コンツェルト・ハウス》と《フリードリヒ・ヴェルダー教会》を見る。これらも学生のとき以来だ。前者は古典主義、後者はゴシック様式で、同じ建築家がデザインを使い分ける。近くにはヌーヴェル、ウンガースなどの建築家による商業施設が並び、この一帯も旧東ドイツ側だった。やはり、統一後は東に現代建築が増えている。
写真:左上=《コンツェルト・ハウス》、左下=《フリードリヒ・ヴェルダー教会》、右上=ウンガース、右下=ヌーヴェル
2015/09/25(金)(五十嵐太郎)