artscapeレビュー

high & dry──田中和人 展

2015年01月15日号

会期:2014/11/14~2014/11/30

Gallery PARC[京都府]

田中和人は写真作品を制作しているが、その作風はストレートフォトとは一線を画している。たとえば、色鮮やかなブロック玩具をピンボケで撮影した《blocks》、金箔をフィルターとして用いて青白い風景を撮影した《GOLD SEES BLUE》、カメラの代わりにスキャナーを用いた《after still》などである。それらの作品は、一見しただけでは相互の関係性が見えにくいが、本人いわく「具象と抽象」あるいは「写真と絵画」の「境界」をテーマにしているとのこと。本展では、新作も含め彼のこれまでのシリーズを一堂に展示することにより、田中の一貫した作家性を明らかにした。また、作品をシリーズごとに並べるのではなく、ランダムに配置したが、これにより時系列を超えたシリーズ相互の参照が可能になった。作家自筆の作品相関図もユニークで、作品理解の一助になった。

2014/11/21(金)(小吹隆文)

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