artscapeレビュー
私たちの窓から見える風景──現代美術作家の視点からひもとく、イメージ共有のあり方
2015年01月15日号
会期:2014/12/09~2014/12/20
東京都美術館ギャラリーA[東京都]
タイトルの長い展覧会はコンセプトが明確ではない、という法則がある。ぼくが勝手につくった法則だが、だいたい当てはまる。この展覧会も例外ではなく、どういうグループなのか、なにを目指しているのかよくわからない。でもおもしろい作品がいくつかあった。ひとつは、サッカーボールの軌跡を立体的に彫ったり、水泳選手が水に飛び込んでしぶきを上げた瞬間を捉えた稲葉朗のマンガチックな木彫。もうひとつは、だれの作品か忘れたが、直径10メートル近い黒いビニール袋に空気を送ってドーム状に膨らませ、中に入れるようにした作品。これをゴミ袋に見立てると、内部からうっすら外の世界が透けて見え、自分がゴミになった気分が味わえる。会場が吹き抜けの巨大空間なので、これくらい量塊感がないと太刀打ちできないのかもしれない。
2014/12/09(火)(村田真)