artscapeレビュー
伊東豊雄 展──台中メトロポリタンオペラハウスの軌跡 2005-2014
2015年01月15日号
会期:2014/10/17~2014/12/20
ギャラリー間[東京都]
台湾・台中市に建設中の伊東豊雄設計によるオペラハウスの展示。外見は四角い箱だが、内部はドーナツの内側の曲線(円筒の両端を広げたような)を連続させた複雑な構造になっていて、要するに床、壁、天井の境界がないのだ。伊東によれば「これは人体になぞらえることができる。人の身体には多くのチューブ状の器官が存在するように、この建築の内部にも縦横無尽にチューブ状の空間が貫通しているからである。身体が口、鼻、耳などの器官を介して自然と結ばれているように、このオペラハウスも内外が連続する建築を目指したのである」。もちろんそんなややこしいことをしたらテマヒマかかることは目に見えてるので、このプロジェクトを円滑に仕切りたい総務課と、芸術性を重視する企画課がバトルを繰り広げたのではないかと想像する。もちろん実際にそんな課はないだろうけど、少なくとも伊東氏の頭のなかで両課はせめぎあってるのではないだろうか。考えてみれば、伊東氏も反対の声を上げたザハ・ハディドの新国立競技場案だって、総務課と企画課とのつばぜり合いにほかならない(そこに経理課と環境課も乱入してよけい複雑かもしれないが)。新国立競技場はともかく、オペラハウスのほうは着々と進んでいるそうだ。
2014/12/16(火)(村田真)