2021年04月15日号
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artscapeレビュー

清水裕貴「mayim mayim」

2015年01月15日号

会期:2014/12/05~2015/12/28

undō[東京都]

東京・三ノ輪に2014年5月にオープンしたギャラリー・スペースundō(運動という意味だそうだ)で、清水裕貴の個展が開催された。清水は2011年に第5回写真「1_WALL」でグランプリを受賞し、12年にガーディアン・ガーデンでその受賞展「ホワイトサンズ」を開催した写真家。ふわふわと宙を漂うような風景写真と、ポエティックなテキストを組み合わせた作品は、将来性を感じさせるものだった。それから2年が過ぎ、何か新たな展開があるだろうかと期待して見に行ったのだが、残念なことに作品のあり方はそれほど変わっていなかった。
今回は、イスラエルに雨乞いの祭りの取材に行ったときのスナップと、例によって散文詩のような感触のテキストを組み合わせている。ちなみに、フォークダンスの楽曲として知られていて、今回の展覧会のタイトルにもなっている「mayim mayim」は、開拓地で水を掘り当てたことに感謝を捧げるイスラエルの歌なのだそうだ。テーマは面白いし、謎めいた雰囲気の写真の選び方、並べ方も悪くない。にもかかわらず、映像も言葉も宙に舞って、そのまま雲散霧消しそうな心もとなさを感じる。
彼女にいま必要なのは、作品の「構造化」をより徹底することではないだろうか。夢や幻想の世界を描き出した作品も、いやむしろそういう作品だからこそ、くっきりとした論理的な構造が必要になってくる。たとえば、今回の作品の中に登場してくる魅力的な「足」のイメージを、きちんと育て上げ、一貫したストーリーの中に位置づけることができた時、写真と言葉の両方の領域を自在に操ることができる、スケールの大きな写真作家が出現するのではないだろうか。

2014/12/15(月)(飯沢耕太郎)

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