2021年04月15日号
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artscapeレビュー

未来を担う美術家たち17th──DOMANI・明日展

2015年01月15日号

会期:2014/12/13~2015/01/25

国立新美術館[東京都]

「未来を担う美術家たち」「文化庁芸術家在外研修の成果」という、期待と事実を表わす2本のサブタイトルがついている。出品は12人(ほかに保存修復の3人も加わっている)で、年代は30代前半から50代なかばまで(年齢不詳が約3人)広がりがあるし、ジャンルも絵画、版画、ドローイング、彫刻、写真、陶磁、マンガ、アニメと多様。また、海外に派遣されたのは全員2000年以降だが、03-13年と幅があり、派遣先もヨーロッパ各国、アメリカ、インドネシアとさまざまだ。つまり文化庁のお金で海外に行ってきたという以外なんの共通点もないグループ展なのだ。まあ文化庁としては全員「未来を担う美術家たち」で収めたいのだろうが。でも見ていくうちに共通項が見つかった。ほぼ全員の作品がモノクロームかそれに近い色彩なのだ。と思ったら、後半の古武家賢太郎と入江明日香がカラフルだった。ガーン。とにかくトータルにはまとまりのない展示なので、個々の作品を楽しめばよい。雑巾に墨汁で年季の入った工場やクレーンを縮小再現した岩崎貴宏の「アウト・オブ・ディスオーダー」シリーズと、ドクロや鏡に過剰な装飾を施した青木克世の陶磁はすばらしい。岩崎の作品は川崎市市民ミュージアム所蔵となってるので、きっと京浜工業地帯の工場だろう。同じ目的で集う20-30人の人たちの顔を重ねて焼いた写真で知られる北野謙は渡米後、被写体を太陽や月に変えた。でも太陽や月を長時間露光で撮るのは珍しくないからなあ。一見、山口晃を思わせる入江明日香のJポップな屏風仕立ての絵が、実は銅版画(のコラージュ)だったとは驚き。これは売れそう。

2014/12/17(木)(村田真)

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