2020年10月15日号
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artscapeレビュー

笹岡啓子「PARK CITY」

2015年01月15日号

会期:2014/12/02~2015/12/23

photographers' gallery[東京都]

笹岡啓子は2009年に写真集『PARK CITY』(インスクリプト)を刊行した。彼女が生まれ育った広島を、爆心地近くの公園を中心に広がる「PARK CITY」と見立てて撮影したモノクロームのシリーズで、2010年に日本写真教会新人賞を受賞するなど高い評価を得た。今回のphotographers' gallery と隣接するKULA PHOTO GALLERYの展示では、このシリーズを踏まえて、さらにそこから先の展開が企てられていた。
photographers' galleryでは、写真集に収録されていた作品のモノクロームプリント11点とともに、新作のカラー作品3点が展示された。さらにKULA PHOTO GALLERYにも、カラー作品3点がより大きなサイズで展示されていた。広島平和記念資料館の展示物を眺めている観客(すべて学生など若い世代)を撮影した新作は、内容的には前作をそのまま踏襲している。だが、カラーになることで、いつともどこともつかない時空に宙吊りにされたように感じる前作と比較して、よりリアルな空気感が増したことは間違いない。もう一つ興味深いのは、展示されている原爆投下時の記録写真が、当然ながらモノクロームのまま写っていることだ。そのことによって、1945年/2014年という二つの時間の断層が、よりくっきりと形をとって見えてきたように思う。
笹岡が今回の展示作品を撮影するきっかけになったのは、『photographers' gallery press no.12』の特集「爆心地の写真1945-1952」の編集にかかわったためではないだろうか。刊行されたばかりの同誌に掲載された写真やテキストとあわせて見ると、現地調査の成果を踏まえつつ作品化していることがよくわかる。

2014/12/15(月)(飯沢耕太郎)

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