artscapeレビュー
プレビュー:神村恵『わける手順 わすれる技術 ver. 2.0』
2015年01月15日号
会期:2015/01/18
SNAC[東京都]
神村恵は間違いなく尊重されるべき日本の振付家の1人だ。それは、彼女の考えていることには、ともかく耳を傾けるべきだということを意味する。彼女の10年を超えるキャリアは、必ずしも新しい観客にはフォローが容易ではないかもしれない。そうかと思って私は昨年「ダンスを作るためのプラットフォーム」BONUSにて、動画コンテンツ「神村恵入門」を制作した。ぜひこれを一度見て、彼女のこれまでの軌跡をフォローしておいて欲しい。あらかじめ公開されているこの公演に向けてのテキストに「私たちが観客と共有したいもの」は「隠蔽の反対。幻惑の反対。ウェルメイドの反対。完了形の反対。全体の反対」と記されている。あるいはそのテキストでは「プロセス」という言葉も目立つ。これはきっと観客にとって「挑戦的」な上演になるだろう。そして、簡単に観客が感動することを許さない作品だろう。そこに神村が賭けるのならば、それに応じてみるべきだろう。それはきっとダンスではない。だからこそ、未来にダンスと呼ばれるなにかでありえるのだし、本作はきっとそのなにかの発端とのちに語られる試みとなるだろう。
2015/01/14(水)(木村覚)