artscapeレビュー
「Henri Matisse:The Cut-Outs」展
2015年01月15日号
MoMA(ニューヨーク近代美術館)[アメリカ合衆国ニューヨーク市]
マティスの「カット・アウト」展は、彼の切り抜き系の作品にしぼって紹介するもので、最初は小さい書物の挿絵くらいの大きさだが、チャペルのステンドグラスやスイミング・プールになると、壁全体、部屋まるごとのスケール感で展開する。切り絵を並べて、それで配置やサイズを検討する、創作のプロセスもよく示していた。1階では、あいちトリエンナーレの映像プログラムで紹介したビル・モリソンの作品を上映する。激しく劣化したフィルムを意図的に使うために、もとの物語と関係なく、独特のイメージをつくるのが興味深い。ロバート・ゴーバー展は、シンクや壁紙など、日用品をしつこく作品化し、不気味なズレを生じさせる。スターテバント展は、オリジナルをつくらず、いわばパクリアートを追求する。その他、美術系では、デビュッフェ、ロートレックの特集展示など、充実したラインナップである。
Robert Gober:The Heart Is Not a Metapor
会期:2014/10/4~2015/1/18
2014/12/30(火)(五十嵐太郎)