artscapeレビュー
棟方志功と芹沢銈介──ふたつの「釈迦十大弟子」を中心に
2015年01月15日号
会期:2014/09/06~2014/12/16
大阪日本民芸館[大阪府]
民藝運動に共に参加した版画家・棟方志功と染織家・芹沢銈介によってそれぞれ制作された、「二菩薩釈迦十大弟子」と「釈迦十大弟子尊像」をおもに紹介した展覧会。ふたりの作品約百点のほか、併設展示では濱田庄司や河井寛次郎ら民藝運動の作家たちの作品やばんどり等の編組品も見ることができる。見どころは、棟方と芹沢の同じテーマを扱った「釈迦十大弟子像」(釈迦の優れた弟子たち10人の像で大きさは1メートル近くある)が並べて展示されていること。棟方は、木版画の素材自体の存在感を感じさせる、版木の枠にぎゅっと押し込められたような緊張感と、力強い彫りの線・絶妙なバランスの白と黒の配置でなされるダイナミックな画面に加えて、弟子それぞれの異なるポーズと表情から個性と精神性を見事に表現している。それに対し、芹沢は型染絵の技法によって、柔らかで繊細な描線でもって、弟子たちの内面性を浮き彫りにしている。台座もある立像は、彼が研究したであろう奈良時代の興福寺の彫刻、十大弟子立像を想起させる。なかなか並置される機会のないふたりの大作の対照性が、たいへん興味深かった。[竹内有子]
2014/12/13(土)(SYNK)