2021年04月15日号
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artscapeレビュー

フィオナ・タン──まなざしの詩学

2015年01月15日号

会期:2014/12/20~2015/03/22

国立国際美術館[大阪府]

中国系インドネシア人の父とオーストラリア人の母のもと、インドネシアで生まれ、オーストラリアで育ち、その後ヨーロッパに移住して現在はオランダのアムステルダムを拠点に制作活動を行なうフィオナ・タン。本展は、彼女の初期から近年の映像作品14点を紹介する大規模展だ。彼女の作品は、初期作品では、坂道を転げ落ちる様子を捉えた《ロールI&II》(1997)や大量の風船で身体を浮かせる《リフト》(2000)など、運動や身体感覚にまつわるものと、《興味深い時代を生きますように》(1997)など、自らの複雑な出自をテーマにしたドキュメント調のものがあり、それが近年になると《ライズ・アンド・フォール》や《ディスオリエント》(ともに2009)など記憶をテーマにした作品へと移り、《プロヴナンス》(2008)、《インヴェントリー》(2012)では美術史への言及もテーマになっている。筆者自身は彼女の作品に不慣れなためか、テーマが見えやすい初期作品に共感を覚えた。ただ、彼女の作品は鑑賞に多大な時間を要するため、取材時は各作品を部分的に見るしかなかった。もう一度会場に赴き、たっぷりと時間を取って作品と向き合うつもりだ。そのとき、自分にとってのフィオナ・タン像が初めて明確になるだろう。そうした作品論とは別に、会場構成の巧みさも本展の見どころだ。映像作品では光漏れや音漏れをいかに回避するかが問題となる。本展では暗幕を使わず、展示室へのアプローチを長く取る、入口の壁を斜めにするなどして、洗練度の高い空間と作品の独立性を両立していた。この点は高く評価されるべきである。

2014/12/20(土)(小吹隆文)

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