2021年04月15日号
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artscapeレビュー

題府基之「Still Life」

2015年01月15日号

会期:2014/11/30~2015/01/11

MISAKO & ROSEN[東京都]

題府基之は1985年、東京生まれ。現在は神奈川県を拠点に制作活動をしている。既に写真集『Lovesody』(Little Big man, 2012)、『Project Family』(Dashwood Books, 2013)を刊行し、ロンドンのヴィクトリア&アルバート美術館でのグループ展に参加するなど、むしろ海外での注目度が高まりつつある写真家である。その彼の「Still Life」と題する新作展が、東京・大塚のギャラリーMISAKO & ROSENで開催された。
大きめにプリントされた11点の作品は、すべてテーブル上に散乱する食べ物類を、真上から見下ろすように撮影している。コンビニから買ってきたばかりという感じの弁当類、レトルト食品、極彩色のパッケージのお菓子類などは、ストロボ一発で白々と平面的に描写されており、いかにもそっけなく、身も蓋もない印象を与える。とはいえ、題府がその光景をネガティブに、文明批評的な突き放した距離感で撮影しているのかといえば、そうではないだろう。「片づけられない」状態のまま、ゴミの山と化していく部屋を、家族たちの姿とともに捉えた『Project Family』もそうだったのだが、題府の撮影の仕方は肯定的かつ受容的であり、写真化の手続きは過度な露悪趣味に走ることなく、とてもバランスがとれている。それは今回の「Still Life」でも同じで、画面構成をしっかり考えて、注意深く撮影している様子が伝わってくる。このまま順調に伸びていけば、同時代の空気感を世代感覚として体現した、いい写真家に成長していくのではないだろうか。

2014/12/24(水)(飯沢耕太郎)

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