2021年04月15日号
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artscapeレビュー

阪神・淡路大震災から20年

2015年01月15日号

会期:2014/11/22~2015/03/08

兵庫県立美術館[兵庫県]

静岡からひかりで新神戸へ。1月17日の20周年に合わせ、常設展示室でコレクションを交えながら震災をテーマにした展示をやっている。そもそもこの美術館自体、阪神大震災後「文化復興」のシンボルのひとつとして建てられたものだから、自館の成り立ちとコレクションをたどるだけでも震災に関連した展示になってしまうが、なかでも気になる作家をピックアップしてみると──。震災で倒壊した家に押しつぶされて亡くなった津高和一。ぼくは名前しか知らず、作品を見てもあまりピンと来なかったが、80年代前半に屋外にテントを張ってその中で展覧会を開いていたことを聞いて、ただの抽象画家ではないことを知った。具体の精神が引き継がれていたのか。被災地を撮った写真はおびただしくあるのに、被災地を描いた絵は少ない。西田眞人の《瓦礫の街》はその代表例といえるが、写真を元にした絵であれば写真以上の迫真力が求められ、苦心の跡がうかがえる。福田美蘭の《淡路島北淡町のハクモクレン》は、写真と絵の組み合わせ。画面下に倒壊した家とその脇に立つ木の写真を貼り、その上に木の幹をつなぎ、鮮やかな青空をバックに大きくハクモクレンの花が開いたさまを描いている。泣かせるのは、写真に「この木を残してやって下さい」と書いた板が木の枝にぶら下がってるのが写っていること。福田の絵は「こんなに花が咲きましたよ」という応答なのだが、花びらに混じって☆をたくさん描き込んでるのはどうなんだろ。写真では、震災から約10年後の被災地や遺体安置所を撮った米田知子のシリーズに注目したい。最大の被災地は更地と新築の家が写った風景写真になり、遺体安置所だった教室はなにごともなかったかのような室内写真になっている。震災を撮るのではなく、震災後の一筋縄ではいかない時間を捉えている。ところで、戦前に活躍した写真家の中山岩太による神戸空襲の戦災写真が何点か並んでいたが、まるで50年後の震災を予告しているかのようだ。

2014/12/12(金)(村田真)

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