2021年09月15日号
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artscapeレビュー

快快『Y時のはなし・イン・児童館』

2013年01月15日号

会期:2012/12/01~2012/12/02

光が丘区民センター3階 多目的ホール[東京都]

「地域の児童館とアーティストをつなぎ子どもとまちとアートのコラボレーションを生み出」すことを目的としたプログラムにアーティスト・イン・児童館がある。彼らが企画した本公演は、児童館を舞台にした快快の代表的レパートリーを児童館に集う本物の子どもたちとともにつくりあげるというなんともミラクルな上演だった。7月に近隣の児童館を会場に行なわれたイベント《100%夏休み》をはじめ、何度も子どもたちと接触を繰り返してきた快快。舞台に出演する子どもたちの生き生きとした姿を見て、もともと「つながり」をめぐって精力的に取り組んで来た彼らの本領がここで存分に発揮されていると思い、素直に感動した。快快はゆるい。現代演劇を生真面目に更新しようとしているというより、まるで遊んでいるようだ、少なくともそう見えることがある。彼らを「パーティ・ピープル」と呼ぶ人たちも多い。けれども、そのゆるさこそがたぐいまれな彼らのパフォーマンスの方法なのではないか。とくに今回の上演でそのゆるさが活きていたのは、「夏休みの最後にパーティをする」というシーンで、これまでの『Y時のはなし』上演にはなかった、子どもたちが実際に歌ったり踊ったりの演目を披露した場面だった。演劇の一場であるはずが、リアルな「お楽しみ会」みたい。演目の進むなか、あちこちからかけ声が投げかけられるなど、和んだ雰囲気が絶えない。演劇の完成度に固執する劇団ならば、高校生がフォークギター片手に歌うなんてパートは挿入しないだろう。その瞬間、演劇的テンションはくずれる。けれども、そこに集った人の力が無理なく表われていることに、演劇的完成とは別の感動が生まれもする。演劇を通してなにができるのか。この特別な公演は、演劇それ自体を目的とするだけではなくひとつの手段としてもとらえている(ぼくはそう思っている)快快からの、ひとつの幸福な希有なプレゼントだった。


快快 (FAIFAI)『Y時のはなし・イン・児童館』【予告編】

2012/12/02(日)(木村覚)

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