2021年12月01日号
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artscapeレビュー

バナナ学園純情乙女組『バナナ学園大大大大大卒業式~サヨナラ♥バナナ~』

2013年01月15日号

会期:2012/12/28~2012/12/31

王子小劇場[東京都]

昨年5~6月の公演に際して、観客からのクレームが発生し、活動が難しくなってしまったバナナ学園純情乙女組(くわしくは水牛健太郎「いわゆるバナナ事件について」などを参照いただきたい)。これでおしまいかと思っていたのだが、最後に解散公演を行なうことになった。本作を見て(体験してといったほうが正確か)、あらためて思うのは、彼らのパフォーマンスというのは人と人との身体的接触に生じるなにかに賭けるところにあるということ。役者が小道具を使う前に観客にいったん預けたり、水や豆腐を舞台や客席にところ構わず浴びせかけたり、客席の間を水着姿の役者たちがうろうろしたりというのは、観客との直接的接触のマジックに賭ける彼らの方法のひとつである。それは身体の接触によってかりそめの一体感を構築する点で祭りに近いのかもしれない。ただし残念なことに(初日の公演を見たせいかもしれないが)、これまでと比べると、その大事な接触が弱いとどうしても思ってしまう。どんなものであれ接触とはハラスメントであり、傷つくことだ。傷から始まることが彼らのパフォーマンスの核であるとすれば、傷つけないでそれは始まらない。この傷へのアプローチは、今後どう展開するのだろうか。それと、アニソンだとかコスプレだとか若者文化の意匠を薄っぺらなまま大量に舞台に持ちこんで猛烈にかき混ぜる様ももうひとつの彼らの魅力であるが、そこでキラキラ輝く若者の身体の切ないほどに無意味な存在感は、ただたんに彼らが実際に若いから生まれたものではないということを証明して欲しい。そのためにも、解散後の彼らの活躍に注目し続けたい。

2012/12/28(金)(木村覚)

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