2021年10月15日号
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artscapeレビュー

エチュド──中村未来子:編み紐展

2013年01月15日号

会期:2012/12/12~2012/12/23

SEWING TABLE COFFEE(星ヶ丘洋裁学園内)[大阪府]

もっとも大きなサイズでも幅は10数センチ、小さなものに至っては幅5ミリほどしかない編み紐の作品が約50点、テーブルや壁面に展示されていた。会場は昭和初期に建てられた古い洋裁学校の敷地内にあるカフェなのだが、こちらも元々は納屋として使われていた小屋のようで、その佇まいを丸ごと残しているため、室内も独特の雰囲気がある。編み紐は、それぞれの色数も1色か2色と少なく、鮮やかさや派手さなどは全くない。私が訪れた日は雨が降りだす前の曇り空で、自然光が中心の空間は薄暗く、いっそう判り難かったのだが、至近距離で見てはじめてそれらに野の花や星のモチーフが細やかに編み込まれていることに気がついた。自然の景色や夜空の眺めを想起させるリズミカルなパターンはそれぞれ、これはどこの風景なのだろう、いつなのだろうと、季節や作家の感情体験に思いを廻らせるもので、釘付けになってしまう。一見何気ない地味な編み紐ばかりなのだが、慈しいものを表現する作家の美的センスが印象的。


左=会場は古い洋裁学校の敷地内
右=展示風景

2012/12/20(木)(酒井千穂)

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