2021年10月15日号
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artscapeレビュー

虹の彼方──こことどこかをつなぐ、アーティストたちとの遊飛行

2013年01月15日号

会期:2012/11/23~2013/02/24

府中市美術館[東京都]

今日は多磨霊園に墓参り。地図を見ると府中市美はすぐ近くなので寄ってみる。今回は芸術と日常の接点を探る企画展のようだ。出品作家は伊庭靖子、小木曽瑞枝、斎藤ちさと、塩見允枝子ら9人で、印象に残ったのは三田村光土里とmamoruの作品。三田村は、展示室にカメラ、タイプライター、レコード、フィギュア、本、地図、はかり、椅子、格言のような言葉などの日常品を持ち込み、そこに毛糸を絡めている。毛糸の端には「ART」「AND」「BREAKFAST」と描かれたジグソーパズルのピースがぶら下がり、もう一方の端にはカギが吊るされている。これはここ数年、三田村が世界各地で展開して来た「アート&ブレックファスト」というプロジェクトで、観客とともに朝食をとりながら語り合い、少しずつインスタレーションを築き上げていくというもの。この一部屋にさまざまな文化が共存し、糸で結ばれているわけだ。一方mamoruはインタラクティブなサウンドインスタレーション、訳せば双方向的な音の装置。ひとつは、テーブルの上に透明のガラス瓶を20個ほど置き、天井から釣り糸を垂らしている。観客がかたわらに置かれた冷蔵庫から氷を取り出して釣り糸に掛け、しばらく待つと氷が溶けて水滴がガラス瓶のなかに落ちていく仕組み。その音を静かに聞くという作品なのだ。もうひとつは、テーブルの上に大きさの異なる空のペットボトルを数十本並べ、その横に扇風機を置いている。観客がスイッチを入れると扇風機の風がペットボトルの口をなで、わずかな音をたてる。その上のほうには数十本のアルミのハンガーが掛けられ、そこにも扇風機の風があたり、シャララとわずかに音をたてる。なんと繊細な。

2012/12/09(日)(村田真)

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