2021年09月15日号
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artscapeレビュー

大駱駝艦・壺中天公演『CRAZY CAMEL』

2013年01月15日号

会期:2012/12/14~2012/12/24

壺中天スタジオ[東京都]

麿赤兒の役回りを村松卓矢が担当し、今年の10月にパリで上演された同名作を再演したのが本作。タイトルはパリの有名キャバレーCRAZY HORSEへのオマージュでもある。なるほど、野外イベントなどでしばしば上演されてきた彼らの金粉ショーは、壺中天スタジオの室内でみると妖しい魅力が増してきて、ゴージャスさや美しさに特化しているところはCRAZY HORSEと異なるとしても、キャバレーのヌードショーと似た興奮が劇場を満たしてゆく。6人の男女が金色のコーティングを施して、アグレッシヴな動きを見せると、あっという間に、金の肌に玉の汗が輝き出した(最後には汗で水たまりをつくりかけるほど床が濡れた)。向雲太郎のアホとロマンの皮袋』でも思ったことだけれど、色を塗った舞踏特有の肌というのは、裸ではなくひとつの衣裳なのだ。生々しさを隠して艶めかしさを残す。体のラインが最大限際立ちつつも、裸に目を向ける気恥ずかしさを軽減させる。彼らの踊りの間に、村松卓矢と我妻恵美子のダンスが何度か差し挟まれる。ときにセーラー服、ときに貴婦人の衣裳を纏って踊る2人は、終幕にさしかかったところで「Monet」と表紙にある本を手にした男の子がじつは春画を見て勃起していることを知り、迫ると、彼の金色のペニスを食べてしまう。シンプルな構成、時間も彼らにしては約1時間と短い。けれどもその分、彼らの官能的で、ユーモラスな面が鮮明に出た公演となった。舞踏というと専門的な興味にしか訴えないところがあるが、こうしたショーなら理屈抜きに見たいという客もいるはず。ぜひ「CRAZY CAMEL」ショーとでも称して、第二弾、第三弾とシリーズ化して欲しいものだ。

2012/12/22(土)(木村覚)

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