2021年11月15日号
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artscapeレビュー

混浴温泉世界2012

2013年01月15日号

会期:2012/10/06~2012/12/02

別府市内各所[大分県]

大分県別府市で催されている国際展の2回目。「混浴」というフレーズに示されているように、現代アートをはじめ、ダンス、音楽、パフォーマンスなど、さまざまなジャンルをミックスした国際展で、温泉街や商店街、空き店舗、海岸の埠頭などに作品が展示された。
小沢剛が作品を展示したのは、別府のランドマークである「別府タワー」。もともと常設されている「アサヒビール」という電光掲示板の文字を任意に明滅させることで、「アサル(焼いた/スペイン語)」や「サール(公会堂の/フランス語)」など、世界各国の言語を次々と表示した。留学生をはじめ、多くの外国人が居住する別府の国際都市としての性格がよくわかる。その明滅にあわせながら単語を唄い上げた合唱団のパフォーマンスも、まるで別府タワーが擬人化されたようで、おもしろかった。
とりわけ印象に残ったのは、旧ストリップ劇場を舞台にした「永久別府劇場」。毎週末に大友良英や東野祥子など気鋭のアーティストが先鋭的なパフォーマンスを見せたが、ひときわ観客の度肝を抜いたのが、「The NOBEBO」による金粉ショー。全身に金粉を塗布した男女3人が、妖艶かつ恐ろしい身体表現を存分に見せつけた。皮膚呼吸が難しいからなのだろうか、身体からは尋常ではないほどの汗が滴り落ち、激しいアクションのたびに飛び散る汗に観客席は大きくどよめいた。ショーの斎藤さん「撮影タイム」が設けられていた点も、芸が細かい。
現代アートと大衆演芸の協演。そのような国際展がグローバルなコンテンポラリー・アートの規準から大きく逸脱していることは疑いない。けれども、逆に言えば、そのような特異な国際展だからこそ、凡庸なコンテンポラリー・アートには到底望めない魅力が生じていたこともまた事実である。日本という極東の島国で国際展を催す意義があるとすれば、それは本展や、越後妻有の「大地の芸術祭」のように、ローカリズムというより、もっと直接的にいえば「ガラパゴス化」を徹底的に追究するという方向の先にしかないのではないか。

2012/11/20(火)(福住廉)

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