2021年10月15日号
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artscapeレビュー

レオ・レオニ「絵本のしごと」/Leo Lionni, Book! Art! Book!

2013年01月15日号

会期:2012/12/06~2012/12/27

美術館「えき」KYOTO[京都府]

絵本作家レオ・レオニ(Leo Lionni, 1910-1999)の仕事を紹介する展覧会。絵本の原画や版画、彫刻など約130点が展示されていた。オランダのアムステルダムで生まれたレオニは結婚後イタリアで暮らしていたが、ナチスの弾圧を逃れアメリカへ亡命、そこでグラフィックデザイナーとして活躍した。イタリアのファシスト政権が崩壊すると、アメリカとイタリアを行き来しながら活動を続けた。レオニが絵本を描き始めたのは49歳の頃でかなり遅いデビューだったが、「ニューベリー賞(Newbery Award)」と並んで、アメリカでもっとも権威のある児童文学賞とされる「コールデコット賞(Caldecott Award)」を4度も受賞するなど、絵本作家として独自の世界を築いた。ちなみに、両方ともにアメリカ図書館協会が、毎年アメリカで出版された本のなかから受賞作を選んでいるが、ニューベリー賞は物語を、コールデコット賞はイラストレーションをおもな対象とする。処女作『あおくんときいろちゃん(Little Blue and Little Yellow)』(至光社、1984[原著1959])にまつわる面白いエピソードがある。レオニが孫たちと汽車に乗っていたときの話だ。孫たちが騒ぎ出し、ほかの乗客に迷惑がかかることを心配したレオニは、読んでいた雑誌を切り抜いて即席絵本をつくった。それがデビュー作の『あおくんときいろちゃん』。以後、1999年にこの世を去るまで30作近くの絵本が発表され、日本でもその多くが翻訳出版されている。ネズミやシャクトリムシなど、小さな主人公たちが自分らしく生きる姿や、家族の大事さが温かいストーリーで描かれている。また、グラフィックデザイナーとして培ってきた構成や色彩に対する優れた感覚が存分に発揮されており、子ども向けの絵本とは思えないほど、洗練された、完成度の高い作品が多い。グラフィックデザイナーの福田繁雄は『コーネリアス(Cornelius)』の日本語版に次のような言葉を寄せている。「『コーネリアス』は彼の21冊目の新作で、フロッタージュ(拓本的な技法)と切紙という手法で、切れ味の良い、ゆったりとした画面をつくりあげています。登場する動物たち、空や樹木や草や水などの表現に、常に実験的な新しさが用意されているのには、感心させられてしまいます。このことはレオ・レオニの絵本の重要な魅力のひとつです。印刷技術にいかに、精通しているかということですが、このことは、彼が世界的なグラフックデザイナーであるという経歴から納得させられるというものです。」[金相美]

2012/12/18(火)(SYNK)

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