artscapeレビュー
松尾多英 個展「砂」
2013年01月15日号
会期:2012/12/03~2012/12/15
クリエイティブ/アートスペースコルソ[東京都]
100号大の縦長パネル17枚に顔料で「砂丘」を描いている。1枚1枚でも独立した絵として見られるが、17枚を円環状につなげると360度のパノラマ画面として完結する(ただしつなげると全長20メートルを超すため、今回は会場の都合で一部つながっていない)。これは壮観。でも端から端までずーっと見ていくと奇妙な感覚にとらわれる。それは、1枚1枚の縦長パネルにそれぞれ砂丘の特徴が描かれているため、全体を見渡すときわめて変化に富んだ(むしろ富みすぎる)砂丘が出現するからだ。いいかえれば、1枚1枚が比較的ワイド画面なのに、それが17枚も続くから、全体で360度どころか720度も優に超す一種幻想的な風景になっているのだ。もちろんそれは弱点ではなく、むしろ本来は無愛想きわまりないはずの砂丘に変化に富んだ表情を与えた作者の力量と見るべきだろう。ちなみに松尾さんはぼくの美大のセンセーで、当時は最年少のぱっつんぱっつんギャルだったが……あ、センセーお久しぶりです!
2012/12/04(火)(村田真)