2021年10月15日号
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artscapeレビュー

第7回展覧会企画公募

2013年01月15日号

会期:2012/12/01~2013/01/14

トーキョーワンダーサイト本郷[東京都]

作品を審査するのではなく、展覧会のプランを募集し、入選案を実現させるというユニークな公募展。1階のミラク・ジャマール&ニーン・山本・マッソン企画の「upDate 2011111111111s」は、東日本大震災やアラブの春など大きな社会的変化が生じた「2011年」をテーマにしたもの。展示は福島原発事故についてのアンケートや、暗示的な動きをする手や指の映像などさまざまあるが、テーマに比して作品そのものがつまらない。というより個々の展示物は作品未満であり、テーマに追いついていない気がする。2階のエレナ・アコスタ企画の「ジャカからコゥエへ──刑務所からのフォトグラフィー」は、ベネズエラの写真家が同国の刑務所で実践してきた教育プログラムの成果を紹介するもの。タイトルの「ジャカからコゥエへ」は「ストリートから懲罰房へ」という意味で、これも同様にテーマは興味深いけれど、展示物(写真やデータ)を見ても退屈なだけ。また2階の小部屋では、奨励賞として高橋夏菜企画の「TOC」が開かれているが、一見どこがおもしろいのかわからないし、そもそも理解したいとも思わない展示だった。この三つに共通しているのは、実際の作品を見ずに企画段階で選出したため、いわば頭でっかちのプランが勝ち抜くという弊害が表われたのではないかということ。いくらコンセプトが優れていても展覧会は論文でもアジテーションでもないんだから、きっちり作品で(または作品同士の相乗効果で)語らせてほしかった。などと残念に思いながら3階に上がったら、最後で一気に逆転ホームラン! これはおもしろかった。展覧会企画は吉澤博之の「But Fresh」で、泉太郎、開発好明、眞島竜男ら6人のアーティストのデビュー作とその2012年版リメイクを並べて公開するもの。なぜおもしろいかというと、まずアーティストの選択に成功していること。いずれもパフォーマンス、インスタレーション、映像などの手法を用い、しかもサービス精神旺盛なアーティストが多いので、作品の一つひとつを楽しむことができる。展示全体としても、会場が狭いと感じるくらい作品を詰め込んでいるので目いっぱい見た気分に浸れ、お得感がある。これは気分的な問題だが、展覧会において重要なことだ。もちろんデビュー作と最新のリメイクを見比べられるというのもポイントが高い。これがあったから満足して帰れた。

2012/12/28(金)(村田真)

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