2021年11月15日号
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artscapeレビュー

勝田徳朗──タマゴから…生える

2013年01月15日号

会期:2012/11/16~2012/12/05

ギャラリー睦[千葉県]

千葉市美からは少し離れているが、千葉駅からは徒歩10分ほど。住宅街に立つ民家の1階を改造したギャラリーだ。なんでそんなところまで行ったのかっていうと、勝田が美大の同窓生だったからだ。だから友達ネタです。勝田は学生時代は理論家で鳴らしたが、卒業後は高校の美術教師をやりながら時々画廊を借りて個展を開いてきた。以来35年、アーティストとして一線で活躍しているわけではないので、アートシーンに一石を投じるような作品を発表することはないが、一生活者として身近なモチーフ(タマゴ)を身近な素材(流木)を使って無理のない範囲で制作し続けている。作品形態は絵画、彫刻、インスタレーションとさまざまだが、モチーフはすべてタマゴ。いまさらアーティストとして自立しようなどとは考えてもいないだろうが、小品は何点か売れている。もっとも感心したのは、ぼくがいた20~30分ほどのあいだに、けっして便利な場所ではないのに何人もの客がひっきりなしに訪れていたこと。ぼくも含めて、彼らの多くは作品を見に来たというより本人に会いに来たんだろう。彼の人柄も大きいが、こういう美術の使い方もあるんだと再認識。というより、それが美術の使い道の大半であり、そっちのほうが健全なあり方なのかもしれない。

2012/12/02(日)(村田真)

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