2021年10月15日号
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artscapeレビュー

尊厳の芸術 展

2013年01月15日号

会期:2012/11/03~2012/12/09

東京藝術大学大学美術館[東京都]

第2次大戦中、アメリカ西部の強制収容所に隔離された日系人がつくった日用品や工芸品などの展示。椅子や棚といった実用品から人形、アクセサリー、玩具まで、少しでも収容所での生活を飾ろうと粗末な素材と道具でこしらえた品々だという。でも、そんなことを知らずに見たら貧乏くさい古道具か安っぽい土産物か、いずれにせよキッチュな工作物にしか見えないだろう。思い出すのは画学生たちの絵を集めた無言館の作品群で、それらが徴集され戦死した人たちによる遺作のような作品と知らなければ、単なる未熟な絵にしか映らないからだ。つまりここでは作品そのものの芸術性より、その背景に隠されているドラマにこそ伝えるべき意味と価値があるということだ。ところで同展は2年前、スミソニアンで開かれた展覧会を元に構成されているそうだが、アメリカ人ははたしてなにを思ってこれを企画したんだろう。乏しい材料からなんでもつくってしまう日本人の器用さに驚嘆したのか、それとも逆境にあってもめげずに生活を豊かにしようとする強さに感動したのか、あるいは強制収容所に隔離してしまったことに対する反省か。アメリカでの展覧会名は「The Art of Gaman(我慢の芸術)」というそうだから、おそらく2番目が正解だろう。その「我慢強さ」は3.11後の被災者の態度でも証明され、世界から賞賛されたものだが、でも逆境にあって我慢強さを発揮するってのは、言葉を換えれば「お人好し」ってことじゃね?

2012/12/04(火)(村田真)

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