artscapeレビュー
2015年01月15日号のレビュー/プレビュー
プレビュー:神村恵『わける手順 わすれる技術 ver. 2.0』
会期:2015/01/18
SNAC[東京都]
神村恵は間違いなく尊重されるべき日本の振付家の1人だ。それは、彼女の考えていることには、ともかく耳を傾けるべきだということを意味する。彼女の10年を超えるキャリアは、必ずしも新しい観客にはフォローが容易ではないかもしれない。そうかと思って私は昨年「ダンスを作るためのプラットフォーム」BONUSにて、動画コンテンツ「神村恵入門」を制作した。ぜひこれを一度見て、彼女のこれまでの軌跡をフォローしておいて欲しい。あらかじめ公開されているこの公演に向けてのテキストに「私たちが観客と共有したいもの」は「隠蔽の反対。幻惑の反対。ウェルメイドの反対。完了形の反対。全体の反対」と記されている。あるいはそのテキストでは「プロセス」という言葉も目立つ。これはきっと観客にとって「挑戦的」な上演になるだろう。そして、簡単に観客が感動することを許さない作品だろう。そこに神村が賭けるのならば、それに応じてみるべきだろう。それはきっとダンスではない。だからこそ、未来にダンスと呼ばれるなにかでありえるのだし、本作はきっとそのなにかの発端とのちに語られる試みとなるだろう。
2015/01/14(水)(木村覚)
カタログ&ブックス│2015年01月
展覧会カタログ、アートにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。
せんだいスクール・オブ・デザイン 2013-2014年度年次報告書
2010年秋に始まったせんだいスクール・オブ・デザイン(SSD)の年次報告書。SSDは東北大学の都市・建築学専攻が中心となり、地域の課題に取り組むクリエイティブな人材を育てる教育プログラム。本書では2013〜2014年に行なわれた多様なプログラムの成果について報告している。
生成のビジュアル─触発のつらなり
2013年10月19日〜12月1日にタクロウソメヤコンテンポラリーアートで開催された展覧会のカタログ。栗田大輔、星野太、服部浩之によるレビューと浅井裕介、大山エンリコイサム、村山悟郎によるアーティストトークを収録。
photographers' gallery press no.12
photographers' galleryがアニュアルで発行している写真批評誌。今号の特集は「爆心地の写真 1945-1952」。原爆被曝当日に撮影された松重美人の5枚の写真、広島県観光協会が1949年に発行した『LIVING HIROSHIMA』等をとりあげている。
庭園美術館へようこそ 旧朝香宮邸をめぐる6つの物語
「2014年11月、リニューアル・オープンする東京都庭園美術館。本書はリニューアル記念として刊行される美術館読本。旧朝香宮邸を巡る6つの物語は、新しい未来への物語の序章に……。……作家、漫画家、音楽家の6名による、旧朝香宮邸をめぐるアンソロジー。」[出版社サイトより]
伊東豊雄 子ども建築塾
「2011年4月からスタートした「子ども建築塾」では、恵比寿にあるスタジオを拠点に、小学校高学年の子どもたちが一年をかけて建築・街を観察し、学び、模型をつくり、住みたい家や街のなかの建築を創造し、提案するという独自の建築教育を行なっています。建築家・伊東豊雄はなぜこのような活動を始めるにいたったのでしょうか。……「いま僕にとって一番楽しい時間」と伊東が語る子ども建築塾の実践と成果を紹介しながら、創造教育の可能性について考えていきます。」[出版社サイトより]
日本メディアアート史
「草月アートセンター、大阪万博、つくば科学博、ARTEC、セゾン文化、ARTLAB、ICC、そして大学教育のなかで──芸術家たちはテクノロジー/マスメディア/社会といかにして切り結び、芸術表現を生み出してきたのか。新進気鋭の研究者による待望の通史が登場!」[出版社サイトより]
たまきはる
前作『たまもの』から12年。60ページに及ぶ文章と168点(カラー70点)の写真で、父の死、友人の死、夫の末井昭との関係、それらを照らした聖書の解釈など、揺れ動く人生を綴る究極の「私小説/私写真」。
2015/01/15(木)(artscape編集部)