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2015年01月15日号のレビュー/プレビュー

土木デザイン競技 景観開花。─集う─公開最終審査会

会期:2013/12/13

東北大学青葉山キャンパス[宮城県]

土木系のアイデアコンペである景観開花の最終審査に参加する。今年は絶対の一推しがなく、最優秀なしもありと思ったが、バランスよりもデザインの可能性という指標だけで票をいれた鈴木翼の浜松駅前プロジェクトが1位になった。今年の傾向としては、「集う」というテーマに対し、具体的な人間の対象を想定せず、数さえ増えれば良いという案ばかりだったのが惜しい。審査後のトークでは、西村浩×木下斉が面白い内容だった。ともに街づくりの専門だが、木下は補助金頼りの地方事業を疑問視し、西村は小さくてもできるところからという指針を提唱する。金沢の「3.11以降の建築」展と完全にリンクしていた。

2014/12/13(土)(五十嵐太郎)

棟方志功と芹沢銈介──ふたつの「釈迦十大弟子」を中心に

会期:2014/09/06~2014/12/16

大阪日本民芸館[大阪府]

民藝運動に共に参加した版画家・棟方志功と染織家・芹沢銈介によってそれぞれ制作された、「二菩薩釈迦十大弟子」と「釈迦十大弟子尊像」をおもに紹介した展覧会。ふたりの作品約百点のほか、併設展示では濱田庄司や河井寛次郎ら民藝運動の作家たちの作品やばんどり等の編組品も見ることができる。見どころは、棟方と芹沢の同じテーマを扱った「釈迦十大弟子像」(釈迦の優れた弟子たち10人の像で大きさは1メートル近くある)が並べて展示されていること。棟方は、木版画の素材自体の存在感を感じさせる、版木の枠にぎゅっと押し込められたような緊張感と、力強い彫りの線・絶妙なバランスの白と黒の配置でなされるダイナミックな画面に加えて、弟子それぞれの異なるポーズと表情から個性と精神性を見事に表現している。それに対し、芹沢は型染絵の技法によって、柔らかで繊細な描線でもって、弟子たちの内面性を浮き彫りにしている。台座もある立像は、彼が研究したであろう奈良時代の興福寺の彫刻、十大弟子立像を想起させる。なかなか並置される機会のないふたりの大作の対照性が、たいへん興味深かった。[竹内有子]

2014/12/13(土)(SYNK)

ホイッスラー展

会期:2014/12/06~2015/03/01

横浜美術館[神奈川県]

ホイッスラーは肖像画家のイメージが強いが、日本の影響を受けた風景画をかなり描いており、そうした作品群を見ることができた。彼が内装を手がけたピーコック・ルームの映像的な空間再現はおもしろい手法である。展示の最後では、ジョン・ラスキンが作品を酷評し、ホイッスラーが勝訴した事件が紹介されていたが、裁判の結果だけでなく、歴史の審判もホイッスラーの方に軍配をあげるだろう。これは批評家が新しい表現を認められなかった時代の転換も象徴している。

2014/12/14(日)(五十嵐太郎)

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Fujimoto Takayuki + Jung Young Doo 赤を見る/Seeing Red

会期:2014/12/12~2015/12/14

KATT 神奈川芸術劇場[神奈川県]

スペイン国立ダンスカンパニーの驚異的なパフォーマンスを見た後なだけに、どうしても身体能力に物足りなさを感じてしまった。むしろ、藤本隆行の照明や、アシスタントの松原慈による空間デザインは興味深かったのだが、それをあまり使わない前半が長いせいか、思っていたほどには効果的に活用されていない。個人的には、照明と空間の力をもっと引きだす内容を見たかった。

2014/12/14(日)(五十嵐太郎)

鎌倉ゆかりの天神さま──荏柄天神社宝物と常盤山文庫コレクション

会期:2014/10/18~2014/12/14

鎌倉国宝館[神奈川県]

松濤美術館の「天神万華鏡」を見た折に、鎌倉国宝館でも天神様の展覧会が開催されていることを知った。たまたま同時期の開催となったとのことであるが、作品の出所は同じ常盤山文庫コレクション。ついでにいうと、図録序文の執筆者も同じく島尾新・学習院大学教授である。松濤美術館との大きな違いは鎌倉での天神様を奉る荏柄天神社の宝物が出ている点。由来によれば、荏柄天神社は1104(長治1)年が起源であり、その歴史は鎌倉幕府よりも古く、東国における天神信仰伝播の中心であったという。本展には荏柄天神社の天神座像や立像、束帯天神像、刷物が出品されている。また図録には荏柄天神社に関する記述があるほか、天神様が中国に渡って禅の名僧・無準師範から袈裟を授かったという伝説を元にして描かれた「渡唐天神」について島尾先生がさらに詳しく解説しているところが松濤と異なる点であろうか。常盤山文庫から出品されている束帯天神像、渡唐天神像、浮世絵には両館の展示品で共通あるいは類似のものが多くあるということをみると、天神コレクションを形成した鉄道技師・菅原恒覧の徹底した蒐集、マニアぶりがうかがわれる。[新川徳彦]

関連レビュー

天神万華鏡──常盤山文庫所蔵 天神コレクションより(松濤美術館):artscapeレビュー|美術館・アート情報 artscape

2014/12/14(日)(SYNK)

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