2020年07月01日号
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artscapeレビュー

ブルーノ・タウトの工芸──ニッポンに遺したデザイン

2014年01月15日号

会期:2013/12/06~2014/02/18

LIXILギャラリー(大阪)[大阪府]

ドイツの建築家ブルーノ・タウト(1880-1938)が日本でデザインした工芸品、家具、デッサン画など約60点を展観している。タウトは、1933年から約3年半にわたって日本に滞在した期間を「建築家の休日」と呼び、日本の芸術文化について広く見聞、熟考した。この間、『ニッポン』『日本美の再発見』『日本文化私観』等に代表される著述活動に励んだだけでなく、工芸品の製作に取り組んだ。まず仙台の商工省工芸指導所でデザイン指導を行ない、次に大倉陶園のアドバイザーに従事した。そして、群馬県高崎市郊外にある少林山達磨寺の「洗心亭」を居住の場に定め、井上房一郎の招きによって井上工芸研究所の工芸デザインを担当するようになる。彼のデザインした工芸品は、東京・銀座の工芸店「ミラテス」で実際に販売された。本展で中心をなすのは、これら漆器、木工、竹製品の工芸品である。木工品は木を素地のまま用い、木目が見えるよう透明なラッカーをかけてある。木製のパイプ掛付煙草入れなどを見ると、職人の確かな手技が細部まで発揮され、美しい曲線を描いた形に魅了される。そのとおり、タウトのものづくりへのこだわりは職人泣かせであったという。また漆塗りの筆入れには、黒地に鮮やかな縞の彩色が映え、カラリストであるタウトの本領を垣間見ることもできる。彼は出展品の《竹の電気スタンド》のように、日本の伝統的な素材である「竹」を使ったデザインを多く残している。素材の特性をいかすことに配慮され、形や色においてはタウトの繊細でいて鋭い感覚が見て取れる。日本工芸の未来に対するタウトの真摯な思いが伝わってくる展覧会である。[竹内有子]

2013/12/08(日)(SYNK)

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