2020年07月01日号
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artscapeレビュー

ルーヴル・ランス

2014年01月15日号

[フランス・パリ]

ルーヴル・ランスへ。SANAAの手法が随所に散りばめられているが、かつて炭鉱で栄えた町ゆえのボタ山が遠くに見えるまわりの環境との関係性、特に外構のランドスケープが美しい。ガラスとアルミに映り込む風景や常設展示室における壁の鏡面効果は、きわめて映像的であり、新しい空間が出現していた。壁と床の緩やかなカーブは空間に微妙なねじれをもたらす。ルーヴル・ランスの常設部屋は、時系列の年表バーを横の壁に提示しつつ、群島状の配置パターンで、数千年前から19世紀までの彫刻や絵画を展示している。こうして一覧すると、絵画より彫刻の方が先に進化した(写実性を基準とした場合)、あるいは長期的に残せると改めて思う(特に石の彫刻)。企画展では、チェルヴェテリに焦点をあて、エトルリアの文化を紹介する。墓が集積したネクロポリスが興味深い。ただし、ここは仮設壁が大量にできるため、どうしてもSANAAの繊細なデザインは消えてしまう。ヌーヴェルのケ・ブランリも、企画展エリアは常設と対照的に表現を抑えている。
美術館にてランスのアール・デコという本を購入したが、炭鉱で栄えていた頃、古典主義を崩したアール・デコが流行ったようで、実際に街歩きも楽しめる。特に駅舎がかわいらしいアール・デコだった。もっとも、駅には戦争の記憶を示すプレートと、ここから528人のユダヤ人がアウシュビッツに送られた記録を示すプレートもかけられている。

2013/12/27(金)(五十嵐太郎)

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