artscapeレビュー

We Will Rock You

2014年01月15日号

ドミニオン劇場[イギリス・ロンドン]

大晦日はドミニオン劇場にて、クイーンのロック・ミュージカル「We Will Rock You」を鑑賞。20曲以上をライブで聴けるのが嬉しい。原曲と異なる印象のアレンジも思った以上になく、特にブライアン・メイのギターのフレーズが、曲のアイデンティティを形成するうえで、重要なことが改めてよくわかった。ただし、物語はつまらない。ロック・ミュージカルは、(未来の)管理社会とそれを打破する自由と愛のロックというストーリーばかりだ。「Rock of Ages」も然り、ドラマ仕立てのStyxの「Kilroy Was Here」も、そうである。かつてはそういう意義もあったと思うが、本当にいまのロックにこれを期待してよいのか。以前、大槻ケンヂが、ロックには、こんな社会は嫌だと、僕は君が好きだの二種類の歌詞しかないと見事に指摘していたが、確かにロックのヒット曲を無理につなげてストーリーをつくると、こうなりがちなのもわからなくもない。ただ、クイーンの楽曲なら、もうちょっと物語のバラエティが出せるのではないだろうか。

2013/12/31(火)(五十嵐太郎)

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