2020年07月01日号
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artscapeレビュー

野村佐紀子「hotel pegasus」

2014年01月15日号

会期:2013/12/07~2013/12/27

Bギャラリー[東京都]

この欄でも何度か指摘したように、ここ数年の野村佐紀子の写真のスタイルは大きく変わりつつある。モノクロームにカラー写真が加わり、男性ヌード一辺倒だった被写体の幅も広がってきた。それは取りも直さず、長く荒木経惟のアシスタントを勤めてきた彼女が、その引力圏から完全に脱しつつあるということでもある。
今回の個展「hotel pegasus」でも、その傾向はさらに強まってきている。ギャラリーのひとつの壁だけを使って、モザイク状にインスタレーションされた29点の写真は、すべてカラー写真である。個々の写真の場面に物語性を持ち込むのも、野村がこのところよく使う手法だが、このシリーズではそれがさらに徹底されている。ホテルの部屋の灰皿には、男女それぞれが吸ったとおぼしきシガレットが二本ずつ並び、背中を丸めて眠る裸の男を見下ろして撮影した写真には、爪に赤いマニキュアを施した女の脚(野村本人の?)が写っている。シリーズの全体が、架空のホテルを舞台にした劇映画のスチール写真のようなのだ。
こうなると、もう少し緻密なシナリオに基づいた物語=写真を期待したくなってくる。あるいは、脚本家や小説家との共作も考えられるのではないだろうか。「本展を皮切りに、野村佐紀子、写真集の発行人である一花義広(リブロアルテ)、写真集デザインを手掛ける町口景、Bギャラリーの4者で、野村佐紀子の継続的な写真展の開催と、併せて写真集の刊行を予定しています」ということなので、そのあたりをぜひ期待したい。

2013/12/08(日)(飯沢耕太郎)

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