artscapeレビュー

森川あいみ個展 ラジオ体操第一

2014年01月15日号

会期:2013/11/26~2013/12/01

KUNST ARZT[京都府]

画廊の展示室には、湾曲したベニヤ板に描かれた絵画が縦横無尽に配置されていた。それらはどれも、ある視点から眺めた風景であり、動きを伴っている。どうやら展覧会タイトルに謎を解くカギがあるようだ。つまり本作は、ラジオ体操をする人間の動きと視線の経過をトレースして描かれた、絵画によるインスタレーションなのである。絵のなかに動きや時間を封じ込める表現方法は、たとえばイタリア未来派や日本の絵巻物の異時同図法のように、すでに多くの実例がある。しかし、彼女の手法はそれらとは根本的に異なる。画面を曲げ、3次元的な展示を行なうことにより、よりダイナミックな描写に成功しているのだ。可能性に満ちた独自のスタイルであり、今後の展開に期待している。

2013/11/28(木)(小吹隆文)

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