2020年07月01日号
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artscapeレビュー

堀田真悠『新月』

2014年01月15日号

発行所:東京ビジュアルアーツ/名古屋ビジュアルアーツ/ビジュアルアーツ専門学校・大阪/九州ビジュアルアーツ

発行日:2013年11月20日

2013年度の第11回ビジュアルアーツアワードを「新月」で受賞した堀田真悠は1992年、京都生まれの20歳(受賞当時)。同賞の最年少受賞者ということになる。だが、その作品世界の完成度の高さは恐るべきもので、写真を取りまく現在のハード及びソフトの環境を的確に使いこなせば、高度な表現力を年齢にはまったく関係なく発揮できることがよくわかる。
「新月」というタイトルが示すように、彼女が引き寄せられていくのは「見えない闇」の世界である。そこには普通の視力では「見えない」けれども、確実に何かがうごめいていて、時には魅惑的な、時には禍々しく不吉な世界を垣間見させる。堀田はそれらを的確にカメラで捕獲していくのだが、プリントして作品化する時にさらに操作を加えることが多い。彼女をビジュアルアーツ専門学校・大阪で指導した百々俊二によれば、「マットブラックインクを光沢紙で使用することで暗部のテクスチャーは浮きあがり反転したミスマッチで出来たプリント」なのだと言う。撮影・プリントの機材のデジタル化によって、これまでとは違った多様な表現の可能性が生じてきているわけで、堀田のような世代は、それらをごくナチュラルなプロセスとして身につけることができるのではないだろうか。
もうひとつ興味深いのは、彼女の作品全体に貫かれている、琳派を思わせる華麗で装飾的な画面構成である。この奇妙にクラシックな美学は、やはり彼女が「京都と奈良の県境の田園地帯に育った」という風土性に由来するのだろうか。

2013/12/04(水)(飯沢耕太郎)

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