artscapeレビュー

バック・トゥ・バック・シアター「ガネーシャ VS. 第三帝国」

2014年01月15日号

会期:2013/12/06~2013/12/08

東京芸術劇場プレイハウス[東京都]

フェスティバル/トーキョーのプログラムで、オーストラリアの劇団バック・トゥ・バック・シアターの公演。これはおもしろかった。この劇団は知的障害者とともに舞台をつくりあげることで知られているそうだが、そこで演じられるのは、インド神話のガネーシャが第三帝国(ナチスドイツ)に奪われた「卍」を取り戻しに行くという冒険譚。ところが、その劇の制作プロセスそのものが本公演の筋書きをなしていて、つまり「ガネーシャ VS. 第三帝国」というドラマが劇中劇として語られるという入れ子構造になっているのだ。しかもそれを演じているのが知的障害者であってみれば、虚と実の境界が確定しがたく、さらに迷宮は深みを増していく。知的障害者による劇というのは、アウトサイダー・アート以上にややこしい可能性を秘めてるような気がする。

2013/12/06(金)(村田真)

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