2020年07月01日号
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artscapeレビュー

現代のプロダクトデザイン──Made in Japanを生む

2014年01月15日号

会期:2013/11/01~2014/01/13

東京国立近代美術館[東京都]

「現代のプロダクトデザイン」というタイトルから最初は家電や自動車などのいわゆる「工業デザイン」を想像したが、そうではなかった。木や金属、陶磁器、布を素材とした日用品。展示品を見ただけでは工芸の展覧会と言われてもわからない。工芸との違いは、形を決める人とつくる人が異なること。デザイナーがデザインし、製造業者がつくる。一般的なデザインのプロセスである。他方でこれらは一般的な工業デザインとも異なる。すなわち、いずれも形以上に、素材と極めて密に関わる仕事なのである。なぜなのかと言えば、伝統工芸あるいは地場産業の振興とデザイナーとが深くかかわっている事例だからだ。伝統工芸・地場産業振興のためにデザインを活用するという試みは、新しいものではない。しかし、諸山正則・東京国立近代美術館主任研究員が指摘しているように、1990年代のそれはうまくいったとは言えない。なにが問題であったかという点は、その後も持続している喜多俊之の仕事と対比すればわかりやすい。喜多が使い手=市場を徹底的に分析したうえで地場産業の技術を援用するという手法を用いたのに対して、外部から投入されたデザインの多くは表面的・一過性に終わり、つくり手と使い手を結びつけるものにならなかったのである。大メーカーとの仕事であれば、マーケティング、製造、流通・販売は専門の部署に任せることができる。デザイナーは形だけをデザインすれば済んでしまうかもしれない。しかし、小規模な製造業者ではそうはいかない。デザイナーに求められる領域はずっと広い。今回の展覧会で紹介されているデザイナーたちの仕事の特徴は、つくり手と使い手を結びつける媒介としてのデザインの役割を強く意識している点にある。[新川徳彦]

2013/12/12(木)(SYNK)

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