2020年07月01日号
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artscapeレビュー

酒井耕・濱口竜介監督「なみのこえ 気仙沼」上映終了後トークショー

2014年01月15日号

アップリンク[東京都]

渋谷のアップリンクにて、『なみのこえ 気仙沼』の上映後、酒井耕監督とトークショーを行なう。筆者は建物、酒井は人の語りを通じ、未来への記憶に関心をもつ。映像技術の出現後、口承は異なる可能性を獲得するが、現在の被災者の語りも、遠い未来においては死者の語りとしてそのまま残っていく。2013年の『なみのこえ 気仙沼』と『なみのこえ 新地町』は、被災者が自ら語る『なみのおと』(2011)の手法を踏襲しつつ、岩手から福島へ南下した前作と違い、それぞれに街を限定し、一組につき約15分程度のリズムで語らせる。前作から時間を経たことで、今度は商売や住宅など、将来のことが話題に上がるようになったことが違いか。トークショーで、酒井監督が述べたように、被災の証言者もわれわれもみな死んでいるであろう100年後を意識した考え方が必要だろう。被災体験も震災遺構も、今生きているわれわれだけが所有するものではなく、今は主張できない未来の他者のものでもあるべきだ。

2013/12/21(土)(五十嵐太郎)

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