artscapeレビュー

2015年01月15日号のレビュー/プレビュー

社会と建築家の新しい関係~なぜ今、3.11を語るのか~

会期:2014/12/21

青山ブックセンター本店[東京都]

青山ブックセンターにて、書籍&展覧会『3.11以後の建築』刊行・開催記念イベント「社会と建築家の新しい関係~なぜ今、3.11を語るのか~」のトークを行う。芳賀沼整、浅子佳英、鷲田めるろ、五十嵐が登壇した。「3.11以後の建築」の展覧会と書籍をめぐる討議の企画であり、浅子さんから原発事故の扱い、コミュニティ・デザインの興隆について問題提起がなされた。前者は福島の芳賀沼さんもいたほか、飛び入りでエネルギーの問題を考える竹内昌義さんも参加し、だいぶ議論できたが、後者は都合がつかず欠席だった山崎亮さんも入れて再度必要かもしれない。内ゲバではないが、3.11以後を考える人達が、原発に関して分断されるのは、結局、社会における風化を増長させかねないのが気になる。また現在、注目されるコミュニティ・デザインをめぐる第三者による批評がもっと増えると、この新しい動きは歴史として定着していくと思う。

2014/12/21(日)(五十嵐太郎)

第77回みなとみらいホリデー名曲シリーズ

会期:2014/12/23

横浜みなとみらいホール[神奈川県]

みなとみらいホールにて、レオポルド・ハーガー指揮による読響のベートヴェン交響曲第9番を聴く。緩急が激しく、盛上がりと寸止めを幾度も繰り返し、最後に合唱も融合した大団円のクライマックスに至るわけだが、改めてとてもヘンな有名曲である。交響曲に歌!が入るのだけど、合唱団は約50分もの間、何もせず後でずっと立っているのだ。しかし、いわゆるクラシックのコンサートの聴衆は年齢層が高い。筆者でもかなり若い方に入るんじゃないか。今はまだよいけど、若い層がもっといないと、20年後くらいに果たしてコンサートそのものが成立するのか?と、人ごとながら心配になる。建築や現代美術のファンは若い人も高齢者もいるのだけど。

2014/12/23(火)(五十嵐太郎)

オリンピックから半世紀 あこがれの「団地」

会期:2014/10/11~2015/01/12

横浜都市発展記念館[神奈川県]

横浜都市発展記念館の「あこがれの『団地』」展は面白かった。資料の数々はもちろん、鍵っ子の登場など、団地をめぐる暮らしと、必然的に引き起こされる交通問題と鉄道の整備が興味深い。当時の映像を見ると、クルマを止める場所がなく、路駐だらけになったり、駐車場があっても、田んぼなどの別の場所に勝手に駐車するなど、好き放題だ。昔はよかったとノスタルジックに回想されるが、これも「美しい」日本のひとつの現実である。

2014/12/23(火)(五十嵐太郎)

八木良太展「サイエンス / フィクション」

会期:2014/12/21~2015/01/17

神奈川県民ホールギャラリー[神奈川県]

神奈川県民ホールギャラリーの展示シリーズは、泉太郎といい、独特の緩さが気持ちいい。1300平方メートルもある展示空間を若手作家が埋める意欲的な企画展だけに、去年のKAATや、前回の横浜トリエンナーレほかで見たものも総集合しつつ、レコードなど、音をめぐる作品を様々に展開している。個人的には、赤青のメガネをかけて、立体物を立体視する作品は笑った。

2014/12/23(火)(五十嵐太郎)

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Theater ZOU-NO-HANA 2014 象はすべてを忘れない

会期:2014/12/05~2015/12/23

象の鼻テラス、象の鼻パーク[神奈川県]

ままごとの柴幸男が演出・構成を担当し、インスタレーション、パフォーマンスを行う。カフェの空間においてラジオ・ブースから声を流しながら、ときには俳優と観衆が混じりあい、設置された象の像を使う「象はすべてを忘れない」の短い演劇を体験した。横浜における場所の記憶を引きだしつつ、サイトスペシフィックな演劇的な空間が出現している。

2014/12/23(火)(五十嵐太郎)

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