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2013年01月15日号のレビュー/プレビュー

ヴァルラーフ・リヒャルツ博物館

会期:2012/08/31~2012/12/30

[ドイツ、ケルン]

ヴァルラーフ・リヒャルツ博物館の外観は、一見ただの四角い箱形の建物だけのように思われるが、展示物の性格から各階のプランが異なり(例えば、中世のフロアは十字型を強調)、また都市を望む開口を絶妙の位置に設けた大人の建築である。都市の文脈を読むウンガースが設計したもの。コレクションは中世から近代まで抱えるが、とくに中世の展示セクションがおもしろい。3Dの先駆など、作品の解説がなかなかしゃれている。

写真:上=展示室、下=外観

2012/12/11(火)(五十嵐太郎)

ルートヴィヒ美術館

[ドイツ、ケルン]

水平のラインを屋根で反復するルートヴィヒ美術館は、隣接する垂直性が強い都市のランドマーク、ケルン大聖堂と好対照をなす。内部は、大階段を軸に左右に展示空間を振り分け、アメリカのポップアートとドイツ近代のコレクションがよく揃う。ドイツは東西が統合した後、ベルリンが文化の中心になっているが、それ以前はケルンがアートにとって重要な場だったことをしのばせる。ちょうど開催中だった企画の漫画展も面白い。

2012/12/11(火)(五十嵐太郎)

ローマ・ゲルマン博物館

[ドイツ、ケルン]

大聖堂の横に建つローマ・ゲルマン博物館は、戦時下に防空壕を掘っているときに発見された遺跡の上にかぶさるように建設されたものである。上からも見下ろせる吹抜けの地階では、オリジナルの高さで、当時のモザイクの床を展示していた。旧市庁舎前も発掘調査中であり、都市としてのケルンの起源がローマ時代までさかのぼることがよくわかる。

写真:地階。モザイクの床

2012/12/11(火)(五十嵐太郎)

ライン河川敷の港湾再開発地区

クレーンハウス、スカイライン、市門(ハーネル門、クロードゥイグ門、エバート門)[ドイツ、ケルン]

ライン川へ旧市壁沿いにトラムで移動すると、随所に市門が残っている。そして河岸に建設された3つ並ぶクレーンハウスを見る。巨大なL字型の造形は、強烈なインパクトだ。エル・リシツキーの「雲の鐙」が実現したら、こんな感じだったのではないかと思う。

写真:クランホイザー

2012/12/12(水)(五十嵐太郎)

シュニットゲン美術館

[ドイツ、ケルン]

大きな四角い民族学博物館に隣接するシュニットゲン美術館は、ロマネスクの教会にガラスのボックスをつなぎ、まるごと中世美術のミュージアムにしたものである。教会の内部が、かつて現役の宗教施設だった頃とは違う大胆な手法で、木彫や石彫、金属細工などのインスタレーション空間に新しく生まれ変わっていることが興味深い。

2012/12/12(水)(五十嵐太郎)

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