artscapeレビュー

2014年01月15日号のレビュー/プレビュー

下道基行「TORII」

会期:2013/11/16~2014/01/19

梅香堂[大阪府]

「MOTアニュアル2012:風が吹けば桶屋が儲かる」でも展示された6年間のフィールドワーク「torii」シリーズからのセレクト。大きなプリントで見応えのある写真。作家がそこに写し取っているものの情報量の多さ、多様さに圧倒される。鳥居を撮ったシリーズのなかにあって、鳥居がもとあっていまはない場所、という写真はとくに美しく、見応えがあった。もう少しじっくりひたるべく、刊行されてまもない書籍『torii』を購入させていただく。梅香堂では2回目となる下道展だが、近くに住んでいたこともある下道にとっては、特別な場所だったに違いない。堂主・後々田寿徳氏は会期半ばの2013年末に惜しくも帰らぬ人となってしまったが、年が明けて本日からの残りの会期は作家本人が在廊してオープンしていた。大きな運河を眼下に、波板の壁面に囲まれる梅香堂の空間との相性も抜群だったと思う。

2014/01/09(木)(松永大地)

プレビュー:『薔薇の人』(第16回:メリー・ジェーン オン・マイ・マインド)

会期:2014/01/16~2014/01/19

両国門天ホール[東京都]

新年最初のレコメンドは、昨年、舞踊生活50周年を迎えていた黒沢美香の『薔薇の人』第16回公演です。ダンスがなんでありうるのかを、ぼくたちがさまざまに想像(妄想 or 誤読)するのに最良な作品シリーズがこれです。その意味で、黒沢の『薔薇の人』は、ぼくにとってつねに「未来のダンス」なのです。何作も見続けてきたぼくでさえ、毎回、黒沢の「あさって」なパフォーマンスに度肝抜かれますので、初めての方はご安心を(あるいはご用心を)。今回のタイトルは「メリー・ジェーン・オン・マイ・マインド」で、予想通り、1970年代のディスコでかかっていたらしいあの曲がひとつモチーフになっているようです。だからといって、あの曲がかかって、ムード満点ななか男女がチークを踊って……などというありふれたイメージを抱いても、おそらくなんの心の準備にもならないはずです。ちなみに「公演のご案内」には、こう書いてありました。「今回のタイトルはそのメリージェーンから始めましたが、メリージェーンを虫や農夫にして実感に辿り着こうとしています」。なんのことやら!

2014/01/15(水)(木村覚)

プレビュー:京都府美術工芸新鋭展──京都国際現代芸術祭2015への道

会期:2014/01/25~2014/02/09

京都文化博物館(4階特別展示室)[京都府]

創造性や技術を備えた新進若手作家の発掘と育成を図ることを目的にした京都府美術工芸新鋭展。新鮮な感覚や感動を喚起する作品や作家との出会いに毎回期待も膨らむ恒例の展覧会だ。今年は43組の作家たちが出品。京都で活動する若手作家達の作品とともに別館ホールでは、ヤノベケンジの《Sun Sister》も特別展示される。こちらは入場無料。

2014/01/15(水)(酒井千穂)

プレビュー:THE COLLECTION 2014:Room 1「凸凹(でこぼこ)」/Room 2「戦争の惨禍──ゴヤによる80点の銅版画集」

会期:2014/01/11~2014/03/09

伊丹市立美術館[兵庫県]

「諷刺とユーモア」というユニークな独自のテーマで蒐集活動を行なっている伊丹市立美術館。19世紀を代表するフランスの作家、オノレ・ドーミエをはじめ、その所蔵品は多彩で「コレクション展」も楽しみだ。今回は、凸凹(でこぼこ)、フランシスコ・デ・ゴヤの銅版画集《戦争の惨禍》の初版全80点という二つのテーマで開催される。会期も3月9日までと長いのでぜひ足を運びたい。

2014/01/15(水)(酒井千穂)

プレビュー:ウィリアム・ケントリッジ《時間の抵抗》(「PARASOPHIA──京都国際現代芸術祭2015」プレイベント)

会期:2014/02/08~2014/03/16

元・立誠小学校 講堂[京都府]

2015年3月から5月にかけて、京都市美術館、京都府京都文化博物館ほか京都府、京都市の関連施設などで開催される予定となっている「PARASOPHIA──京都国際現代芸術祭2015」。そのプレイベントとして、南アフリカの美術家ウィリアム・ケントリッジの大規模映像インスタレーション作品《時間の抵抗》(原題=The Refusal of Time)が展示公開される。2月22日には作家自身が本作について語るレクチャーも行なわれる。

2014/01/15(水)(酒井千穂)

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