artscapeレビュー
2014年01月15日号のレビュー/プレビュー
海藻──海の森のふしぎ
会期:2013/12/05~2014/02/22
LIXILギャラリー[東京都]
文字どおり海藻の展覧会。でも海中でゆらゆら揺れてる海藻をどうやって見せるんだろう、という興味だけで見た。展示はドローイング、写真、実物の標本と多岐にわたり、標本にはまた押し花みたい紙にぴったり貼りつけたもの、透明アクリル板に挟んだもの、アクリルのなかに浮かして固めたものなどがある。なるほど、時代を追って徐々に自然環境に近いかたちで見やすく再現していこうという努力が感じられる。もっとも自然環境に近いというのはあくまで見た目の話であって、透明アクリルに閉じ込めることほど反自然行為もないともいえるが。
2013/12/14(土)(村田真)
村山加奈恵「transmigration」
会期:2013/11/29~2013/12/24
LIXILギャラリー[東京都]
人の目のイメージを蝶のかたちに組み合わせて花に見立てた写真作品を規則正しく配列し、その合間に、花に囲まれたヌードの女性(作者本人らしい)を中心に据えた大きな写真作品を配している。すべて背景は黒で、とくに女性のいる大きな作品は古典絵画のような趣がある。いささかナルシスティックだが、作者の趣味・世界観がわりと明快なので今後も期待できそう。
2013/12/14(土)(村田真)
白石綾子 展
会期:2013/12/09~2013/12/14
ギャラリーQ[東京都]
円形キャンヴァスに下着姿の女性がうずくまってる姿を描く。シーツや下着だけでなく、女性の肌にもうっすらと花柄模様が浮かび上がっている。花柄模様の布地に描いているため透けて見えるからだが、これが刺青のようにも見え、うずくまるポーズともども暗さや不気味さを増している。やはりいまの時代はこういう暗い絵が似合う。
2013/12/14(土)(村田真)
face to faceIII「小島敏男・石塚雅子・岩尾恵都子」
会期:2013/12/02~2013/12/21
ギャラリー・カメリア[東京都]
築80年を超す奥野ビル5階の2会場を使っての企画展。こちらでは小島敏男、石塚雅子、岩尾恵都子の3人展。石塚と岩尾はちょっと幻想的ともいえる絵画で、小島は木彫だが、おもしろいのはこの木彫が葉を茂らせた植物を彫ったものであること。といっても須田悦弘みたいに超絶技巧で極薄の葉を彫ったり彩色したりしてるわけではないが、モチーフが素材と同じ「朴」のように見えるのだ。つまりホオノキからホオノキを彫ってるわけだ。木から木を彫り出すという自己言及的行為。
2013/12/14(土)(村田真)
石塚雅子 展
会期:2013/12/09~2013/12/14
a piece of space APS[東京都]
こちらではギャラリー・カメリアで展示中の小島、石塚、岩尾の3人が、それぞれ1週間ごとに個展を開いている。石塚の絵は靉光を思わせる深みのある背景に、花のような形態を描いたもの。ファンタジックな絵画ともいえるが、見ようによっては世界が炎に包まれていく終末の風景を感じさせないでもない。
2013/12/14(土)(村田真)